ドライマウスとは「口腔乾燥症」とも呼ばれ、口や喉の渇きといった自覚症状を生じますが、病気ではありません。通常、口腔内は唾液が常に分泌され循環していることで、細菌から体を守ったり、食べたり話したりという機能をサポートしています。しかし、何らかの原因で唾液の分泌量が低下してしまうことで、ドライマウスが起こってしまうのです。ドライマウスは、口臭や口腔内の痛み、ただれ、ひび割れ、出血などといった症状を伴うだけでなく、糖尿病などの全身疾患がドライマウスを引き起こしている危険性もあるため、放置することはとても危険なのです。
唾液の役割
唾液は、口腔内での様々な役割を担っています。外から入ってきた細菌や、口腔内にいる細菌の増殖を防ぐ「抗菌作用」や、口腔内の細菌が食べカスに含まれる糖を栄養として作りだす酸や、逆流した胃酸を中和する「中和作用」、また口腔内にできた傷をすぐに修復する「修復作用」などがあります。他にも、唾液に含まれる消化酵素である「アミラーゼ」が、食べ物のデンプンなどの「糖」を分解して体内に吸収しやすくする「消化作用」や、唾液に含まれる「ムチン」というネバネバとした成分が、食べ物をまとめて飲み込みやすくする「食塊形成作用」、口腔内や喉、食道等を保護して硬い食べ物で粘膜が傷つかないようにする「粘膜保護作用」など、唾液の作用によって常に口腔内は守られているのです。
ドライマウスの主な原因
・現代人の食生活
唾液の分泌を促すためには、食べ物をよく噛んで顎や舌の筋肉を動かすことが重要です。しかし、現代人の食生活は柔らかく食べやすいものを好む傾向があるため、食べごたえのある食品を食べなくなったことで、顎や舌の筋肉が衰えてしまいがちです。そのため、唾液の分泌量も少なくなり、ドライマウスになってしまいやすいのです。
・過度な緊張やストレス
リラックスしているときは唾液の分泌量も多いのですが、過度な緊張やストレスがあるときは唾液が分泌しにくくなります。その際、緊張やストレスが解消されたり弱まったりすれば唾液の量も正常に戻るのですが、緊張やストレスの多い状態が続いてしまうと、口の渇きが慢性化してしまうこともあり、ドライマウスになることがあります。
・加齢
加齢によって口周りの筋肉が衰えてくると、咀嚼の回数も減るため唾液の分泌量が少なくにくくなり、ドライマウスになる場合があります。また、全身の筋肉が衰えることで、姿勢が悪くなり猫背で顎が前にでることで、自然に口呼吸になってしまいます。そのため、常に口を開けた状態になり、ドライマウスになりやすくなります。
・薬の副作用
服用している薬の副作用でドライマウスになることがあります。痛みを抑える鎮痛薬、気持ちの浮き沈みを抑える抗うつ薬や向精神薬、花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン薬、降圧薬や体内の水分を排出させる利尿薬などと、原因となる薬の種類は様々です。高齢者にドライマウスが多くみられるのは、服用している薬が多く、その副作用が原因の一つとして考えられています。
・過度なアルコール摂取
お酒を飲むと、アルコールを尿や汗と一緒に排出しようとする利尿作用が働くため、体内は脱水状態になってしまいます。そのため、過度なアルコール摂取が続くと、体内の水分バランスが崩れることで、唾液の分泌量が減ってしまいドライマウスになることがあります。
・疾患によるもの
糖を含んだ尿が大量に排出されることで脱水状態になりやすい糖尿病や、体が麻痺状態になる場合がある脳卒中、自己免疫性疾患であるシェーグレン症候群などの症状によって、ドライマウスになる場合があります。他にも、ホルモン異常やバランスが崩れてしまうことによって起こる更年期障害の症状の一つにもドライマウスが挙げられます。
ドライマウスの対処法
・しっかりと噛む
唾液は、食べ物をしっかりと噛むほど多く分泌されます。そのため、普段の食生活から硬い食べ物などの噛みごたえのある食べ物を積極的に摂るようにして、唾液の分泌を促しましょう。
・緊張やストレスを解消する
過度な緊張やストレスがあるときは唾液の分泌が減ってしまうため、なるべく緊張やストレスを解消することが大切です。また、毎日の生活でストレスを感じている場合は、意識的にストレスが溜まらないように気分をリフレッシュするよう心がけることも大切です。
・過度な飲酒は控える
アルコールが体内に入ると、利尿作用により体は脱水症状を起こすため、唾液の分泌量も減ってしまうことがあります。ドライマウスはもちろんですが、身体の健康のことを考えて過度の飲酒は避けるようにしましょう。
・病院で検診を受ける
口の渇きを長期間にわたり感じる場合は、糖尿病や脳卒中といった疾患が原因となっている場合もあります。そのため、ドライマウスが続く場合は大分県の専門医の検診を受けるようにしましょう。