歯科医師は、「歯科医療および、保健指導をおこなうことによって、公衆衛生の向上および増進に寄与し、国民の健康な生活を確保するものとする」と、歯科医師法で定められています。歯科医師は、歯の治療を通して全身の健康の改善につとめる職業であり、主に虫歯や歯周病などの、歯やその周りの病気の診察、治療、予防をおこないます。他にも、親知らずなどの抜歯、歯列矯正治療、入れ歯の作製・装着、歯を失った際におこなうインプラント治療などの、歯並びの矯正治療や外科的治療などもおこないます。さらに、歯の治療だけでなく、口腔内や舌に関する病気全般の治療や、顎の病気の治療も歯科医師の領域です。病気の状態や内容によっては、他の医科の医師と提携して治療をおこなうこともあります。
歯科医の様々な仕事
カウンセリング
安全で安心した治療をおこなうためには、患者さん一人ひとりのことを深く理解しなければなりません。そのため、どんな治療の場合でも、カウンセリングをおこない、患者さんの悩みや不安に思っていることをきちんと聞いて、理解してもらえるまでしっかりと説明します。さらに患者さんの健康状態や、普段の生活習慣まで、なるべく詳しく話を聞き、患者さんとともに治療計画を立てていきます。また、治療後も大分県の歯科医院での定期的なメンテナンスや、歯のクリーニングの計画も立てていきます。
人工歯による治療
ご自身の歯を失ってしまった場合に、人工歯によって歯の機能性や見た目を改善する補填治療をおこないます。治療方法には、手術によって顎の骨に人工歯根のインプラント体を埋入し、その上に人工歯を装着する「インプラント治療」や、両隣の歯を削り支柱にして人工歯を被せて歯を繋ぐ「ブリッジ治療」や「入れ歯治療」があります。
歯列矯正治療
矯正歯科認定医・専門医となり、矯正歯科を専門とする歯科医師も多くいます。歯に矯正装置を装着し、歯や顎の骨に力をかけることでゆっくりと歯を動かしていき、不正咬合(悪い歯並び)や悪い噛み合わせを正しく整えることで、キレイな歯並びにしていきます。不正咬合や悪い噛み合わせは、様々な疾患や機能障害の原因となるため、これらを改善するという意味でも、矯正歯科の役割は大きいといわれています。矯正装置の装着期間は、1年半~2年半程度ですが、装置を外してからも同期間の保定期間を必要とするため、患者さんと長く付き合うことになります。
審美歯科治療
審美歯科治療とは、通常の歯科でおこなう治療に美しさの視点を加えた歯科治療のことをいいます。歯を白くしたり、歯並びを整えたり、歯茎の色を美しいピンク色に改善するなどと、健康的で美しい口元を作ることを目的とした治療をおこないます。専門の器具を使用した歯のクリーニングの「PMTC」によって、歯の表面の色素の除去や、歯周ポケットの歯石の除去をおこなったり、ホワイトニングによって歯の色そのものを白くしたり、セラミックの被せ物をして歯並びをきれいにするラミネートべニアなどが、審美歯科治療としておこなわれます。
小児歯科
近年では、歯のクリーニングによる歯石の除去やフッ素塗布、歯磨き指導などの「予防歯科」に力を入れている歯科医院が増えています。中でも小児歯科では、乳幼児の虫歯の治療とともに、乳歯から永久歯の生え変わりや歯並びのチェック、虫歯や歯周病の予防など、子どもの歯の健康を保つことが大きな役割です。
歯科健診と啓発事業
大分県の歯科医院での診察や治療の他にもに、学校や児童施設で歯の定期検診をおこなうことも、歯科医師の大切な仕事の一つです。法律でいくつか決められている歯科健診があり、1歳6カ月の児歯科健診からはじまり、義務教育期間中も学校歯科医による歯科健診をおこなうことで、歯科健診を通して食生活指導や歯磨き指導などにより、歯や口腔内のことを知ってもらうことも一つの目的です。
さらに、保健所や国の行政機関で公衆衛生関係の仕事に携わったり、歯科医院への通院が困難な高齢者や、老人ホームに入居している方のための、歯科医師による「訪問診療」もおこないます。訪問診療をおこなう歯科医師は、患者さんや介護施設を定期的に訪れて診療をおこない、口腔内のセルフケアや、口腔機能を改善させるリハビリテーションの指導もおこなっています。
警察歯科医
警察からの要請を受けて、身元不明遺体の身元確認に協力する歯科医師のことを、警察歯科医といいます。大規模災害や事故、事件などによって著しく損傷した遺体の身元を確認する際、歯や口の中の状態(歯科所見)と、生前に歯科治療を受けた際のカルテ記録やレントゲン写真などを照らし合わせて、身元を明らかにしていきます。歯科医師の専門知識が、社会貢献に繋がることもあるのです。