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キシリトールの効果

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キシリトールの知識と正しい使用法

キシリトールとは

キシリトールは、ソルビトールやマンニトール、マルチトールなどと同じ糖アルコールの一種である「甘味炭水化物」です。自然界でも多くの果実や野菜にキシリトールが含まれており、イチゴには乾燥重量100g中に約360mg、レタスには乾燥重量100g中に約130mgのキシリトールが含まれています。また、人の肝臓のグルクロン酸回路でも、1日当たり約15gのキシリトールが作られています。市販のガムやタブレットなどのお菓子に配合されているキシリトールは、白樺や樫などの木から抽出される「キシランヘミセルロース」を加水分解して得られたキシロースに水素添加して作っています。自然界にあるキシリトールも、工業的に作られたものも同じ分子式(C5H12O5)であることから、差はありません。

キシリトールは糖アルコールの中で最も甘く、甘味度は砂糖と同じで、溶ける時に熱を奪うので口に含むとスーッと冷たく感じます。さらに、果物の味をより新鮮にしたり、苦味を消すといった効果もあります。その他にも、冷却効果があることから、布地に応用した夏用の肌着や寝具、化粧品なども販売されています。

キシリトールは虫歯の原因にならないだけでなく虫歯を予防する

キシリトールで虫歯予防

主な甘味料である砂糖の場合、糖を虫歯の原因菌であるミュータンス菌が分解し発酵させて作りだす酸によって、歯のエナメル質が溶かされることで虫歯ができます。しかし、キシリトールを始めとした糖アルコールは、口腔内で歯を溶かすほどの酸は作られません。ソルビトールやマルチトールからは、少量ですが歯垢(プラーク)中で酸が作られますが、キシリトールからは酸が全く作られないのです。また、キシリトールは甘みが強いので、唾液の分泌も促します。キシリトールは酸を作らずに、唾液の分泌を促すことで酸を中和するため、虫歯の原因にならないのです。

さらに、キシリトールには他の糖アルコールにはない、虫歯の発生や進行を防ぐという効果があります。キシリトールの場合は、ミュータンス菌内に取り込まれても発酵せず、虫歯の原因となる酸を作りません。しかも、ミュータンス菌内にキシリトールを取り込むことで、ミュータンス菌がエネルギーを消耗して活性が弱まるだけでなく、長期にわたって使用することで糖代謝も阻害するという効果も証明されています。口腔内では、毎日の食事やおやつなどによって作られた酸を唾液の働きによって中和するといった、溶けたエナメル質の再石灰化がおこなわれていますが、作りだされる酸の量と回数が増えると、再石灰化が追いつかずに虫歯になってしまいます。ですが、キシリトールによって唾液の分泌量が増えることで中和を促進させ、唾液中のカルシウムがエナメル質と結び付く再石灰化が活発になるのです。そのため、キシリトールをガムやタブレットの形で一定時間口腔内に入れると、虫歯の原因となる歯垢が付着しにくくなるとともに、歯の再石灰化を促し固く強い歯にします。このようにキシリトールには、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を弱める働きもあるのです。このような働きは、甘味料の中でもキシリトールだけに見られる効果です。

キシリトールの正しい使用法

キシリトールの使用方法

キシリトールの配合されたガムやタブレットを、口の中に入れてから少し経つとだんだんとキシリトールの甘みで唾液がでてきます。その唾液をすぐに飲み込むのではなく、口腔内全体に上手く行き渡るようにします。キシリトールの混ざった唾液は、マウスウォッシュといわれるくらい歯に対してとても良く、虫歯予防になるといわれています。しかし、キシリトールがガムやタブレット以外のお菓子や飲料などに入っていても、キシリトール自体が口腔内に長く留まることができないため、虫歯予防の効果は期待できません。そのため、キシリトールの効果が期待できるお菓子はガムかタブレットに限られます。さらに、できるだけ高濃度(50%以上)のキシリトールが入っていることと、砂糖などの発酵性の甘味料が入っていない必要があるので、成分表示を良く見て糖類が0gである「シュガーレス」表示を確かめることと、糖質中におけるキシリトールの割合が50%を超えていることを確認しましょう。

また、虫歯予防の効果を十分に発揮させるためには、高濃度キシリトール配合のガムかタブレットを1日3回、3ヵ月以上続ける必要があります。

ミュータンス菌の感染予防のためには、少なくても乳歯が生える3ヶ月前から母親をはじめ、周囲の方のキシリトールの使用が大切です。キシリトールを食べるタイミングは、食事の後などの他にも、おやつや間食の後に仕上げとして食べたり、夜寝る前に食べることもお勧めです。

 

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